Xでまさかの凡ミスした松本人志の性加害問題に「8年前とか関係ない」…“空気を読む天才”指原莉乃がカリスマに背いた「意味」

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Last Updated on 01/13/2024 by てんしょく飯

 

「週刊文春 電子版」にてダウンタウン松本人志の性加害疑惑が報じられたのは、M-1が終わったばかりの2023年12月26日。流行り廃りの大きなお笑い界において30年近くトップに君臨し続けるカリスマ。数々の冠番組はもちろん、M-1やキングオブコントといった賞レースの価値も「あのまっちゃんを笑わせたい」という芸人たちのピュアな衝動によって年々高まっていったといっても過言ではないでしょう。

 

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日本のエンタメ産業に多大な影響力を及ぼすカリスマ

 

「どんな芸人さんに影響を受けましたか」と質問すると、かつてはほぼほぼみなさん「ダウンタウン」と答えていました。最近ではそれが「(松本人志のいる)M-1」となっており、もはや芸人にとって松本人志は「人」の範疇を越え、彼の存在自体がお笑いコンテンツそのものとして受け取られているのだと理解していました。

 

松本人志はカリスマであると同時に、日本のエンタメ産業に多大な影響力を及ぼす吉本興業の屋台骨でもあります。2025年開催予定の大阪万博のアンバサダーをも務める、いわばみなし公人。報道直後のインターネットは余りの衝撃の大きさに荒れに荒れ、吉本の大株主でもあるテレビはどう扱うか苦慮したのでしょう、淡々と文春報道があったという事実だけを流していました。

 

ワンフレーズで時代を動かしてきたカリスマがXでまさかの凡ミス

 

渦中の吉本興業が「当該事実は一切ない、訴訟を検討中」と発表したにもかかわらず、当のカリスマは「とうとう出たね。。。」と被害女性がスピードワゴン小沢に送ったとされるお礼のラインスクショをX(旧ツイッター)で投稿し、結果的に会社側の「事実無根」コメントに矛盾してしまうという凡ミスを発動。

またかつて出演していた『ワイドナショー』でコメントすると投稿して、そこに批判が集まると「いやただファンの方にしばしのお別れの挨拶をするだけ」という旨の投稿を重ね、結局フジテレビ側がその出演を見送る決定を下して全部なくなるというドタバタ。人類には早すぎると言われるXですが、ワンフレーズで時代を動かしてきた笑いのカリスマをもってしても平常ではないメンタルではこんな素顔を露呈させてしまうものなんだなと恐ろしくなりました。

 

そして週刊文春から続報が出る直前の1月8日、「裁判に注力したい」という理由から松本人志は当面の間活動を休止することを発表したのでした。

 

「ワイドナショー」の重い雰囲気を打ち破ったのは…

 

多くの番組が本件に及び腰になる中、昨年12月29日に放送された年末3時間生放送スペシャルの冒頭でこの問題を取り上げたのがその『ワイドナショー』。まずは番組コメンテーターである犬塚浩弁護士が「裁判で白黒はっきりつけるということになると思いますので、その点は静かに見守りたいと思います」と答え、その後のロンブー田村淳が

 

「今の段階でなにか僕たちがコメントすることは何もなくて、だけどこの問題を触れないっていうのも、ワイドナショーって松本さんが出てた番組ですし、実際ニュースになってることは間違いないので。コメントはできないけどこういうニュースがあったってここで報じることには意味があるなと思っていて」

 

とコメント。

 

盟友である今田耕司は

 

「まあ記事は読ませてもらいましたけど、かなり……なんていうんですかね、記者の思いも入ってるというか、小説を読んでるみたいな、本当に女性のインタビューをそのまま記事にしてるのか、表現とかもすごいですけど、僕が知ってる松本さん、小沢くんがとても(記事に出てきたことを)言うとは思えないですし、僕は聞いたことないです、松本さんから記事に書かれてるようなコメントを」

 

と沈痛な面持ちで語りました。

 

指原の冷静かつ強い覚悟を秘めた発言

 

ほとんどの出演者が鉛のように口を重くする一方で、その日唯一の女性コメンテーターだった指原莉乃は毅然とこう言い放ったのでした。

 

「淳さんがおっしゃっているように本人たち以外がやったやってないっていう話をしたりとか、じゃあ女性がついていったのが悪いんじゃないかっていう話をネットが今してるじゃないですか。それがそもそも一種のセカンドレイプなんじゃないかって私は思うので。そういうのが早くなくなればいいなというか、裁判するかもしれないってことなのでその辺は、やったやってないはそこでお話しするべき」

 

スン……と独特の緊張がスタジオに走ったことを察知したMCの東野幸治が「週刊文春も二の矢っていうんですか、年明けて発売する時にそういう記事がまた出るのかってところも……」と話題を終わらせようとしたところを遮り

 

「8年前のことっていうニュアンスも私はすごくよくない風に感じていますね。時間が経っても同じように扱うように思うので。被害者とされる方に常に寄り添ってもらえるような雰囲気になったらいいのになって思います」

 

指原莉乃はそう締め括ったのでした。

 

この時の指原の、冷静でありながら強い覚悟のようなものを秘めた発言を聞き、私は思い出していました。

 

「お得意のカラダを使って…」松本人志の発言に戸惑った過去

 

2019年1月13日の『ワイドナショー』。この日番組ではNGT48山口真帆暴行事件について取り上げていました。この事件の背後には運営の脆弱さがあると力説していた指原に、社会学者の古市憲寿が「(運営を)指原さんがやればいいのでは」と提案。それに対し「トップに立つのは……現状おじさんたちっていうかそのえらい人たちが仕切っても何もできない状況じゃないですか。ただ私が(トップに)立っても何もできないとは思うんです。あんだけの大人数で少ない運営なので」と返した指原に当時番組に出演中だった松本人志が言ったあの一言。

 

「それはそのお得意のカラダを使ってなんかするとかさ」

 

一瞬自分が何を言われたのかよくわからないといった、戸惑いの表情を見せた指原。ようやく見つけた「何……何言ってるんですか? やば」という言葉に、ただただ笑う松本人志。

 

古市「でも指原さんがトップに立ったら説得力あるんじゃないですか。だってこんな感じでトップに行けたわけですよね、AKBの中では」

 

松本「指原への期待がこれだけ大きいっていうことだから」

 

褒めると貶すのラインをうまいこと行き来してる自分たちが嬉しいのか、ニヤニヤするこの男性二人に「でも間違いなくメンバーと運営の間に立つ人間は必要だと思ったのでこれから関わり続けたいなというふうには思いました」と無難にコメントをまとめたのが放送での指原莉乃でした。

 

5年前の「大人な対応」について指原は後悔してる?

 

当然のように「お得意のカラダを使って」発言は大炎上、放送後「被害者」である指原のリアクションに注目が集まっていました。彼女はかわいい絵文字を使いながら「…松本さんが干されますように!!!」とツイート。多くの人がこの反応を「さすが指原!」と称賛し、救われた形となった松本本人も「指原様~」と引用リツイート、なんとなくなあなあと解決した風に視聴者に見せたのでした。

 

あの時の指原はどんなことを思っていたのでしょうか。番組中にダイレクトにぶつけられた、自分を毀損するような発言。そしてエンタメとして笑いとしてどう終わらせるか、試されなくてもいいテストを世間が自分に仕掛けているような圧。バラエティに特化すること、世間の空気を読み当てることに尋常ならざる才能を見せつけ、大人数アイドルグループから独自のスタンスを築き上げてきた指原莉乃。5年前につきつけられた刃に動揺し、しっかりと受け止める前に「大人な対応」をしてしまったこと。5年経った今も、きっとあの時の感情は今しがた起きた出来事のように己を苛むのではないかと思います。その後悔のようなものを、29日の放送の指原発言に感じるのです。

 

MCを遮ってまで「8年前とか関係ない」と私見を述べたことの“意味”

 

性被害だけでない、あらゆるハラスメントの被害者たちは、すぐにそれを受け止めることはできない。なんなら加害者におもねったり、自責の念に取りつかれたり、「自分は被害者ではない」と思い込もうとしたり、自らの心を守るために一見矛盾があるような行動をとることは既に広く知られています。「自分は悪くなかった」ことに気づくまで、信じられない時間を費やすことがあることも。彼女がMCの声を遮ってまで「8年前とか関係ない」と私見を述べたことの意味は重いと思うのです。

 

そして「事実は裁判で争うとして、でも日本のバラエティに松本人志という存在はなくてはならないと思う」といった類の発言で逃げることもできたにも関わらず、それを選択しなかったこと。まさにあれは令和の蜂のひとさしであり、芸能界屈指の風見鶏がカリスマに背いた瞬間でもありました。

 

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