Last Updated on 03/27/2024 by てんしょく飯
大谷翔平が水原氏を「一平さん」と呼ぶのをやめた“ある瞬間” 会見を分析した臨床心理士が気づいた“痛切な心理状態”とは…
ドジャースの大谷翔平選手が25日、ついに記者会見を開いた。すでに解雇された元専属通訳の水原一平氏の違法賭博疑惑を受け、自ら声明を発表したのだ。
自ら声明を発表
水原氏の突然の解雇が発表されて以降、大谷選手が公の場で話すのは初めて。会見冒頭「僕も話したかったので、嬉しく思います」と切り出した大谷選手は、「まず、僕自身も信頼していた方の過ちというのは悲しく、ショックですし」と話した。いつもより話し方のピッチが速い印象を受ける。
水原氏のことを「信頼していた方」と過去形で呼んだ大谷選手。彼の中ではもう水原氏に対する信頼は過去のものになっているのではないだろうか。
それは会見中に6度も「嘘」という言葉を使ったことからも透けて見える。
「皆に嘘をついていたというのが結論」
「すべてが嘘だった」
「代理人に対しても僕はすでに彼と話して、コミュニケーションをとっていたと嘘をついていました」
「チームにも、僕とコミュニケーションをとっていたと嘘をついていました」
「話が終わって、代理人も彼に嘘をつかれていたと初めて知り」
「彼らも初めて嘘をつかれていたとその時知りました」
まばたきが増え、口元をきつく結んでいた心理状態は…
実際、水原氏の嘘は1つではなかった。某友人の借金を肩代わりしていた、借金を大谷選手が肩代わりした、大谷選手とコミュニケーションをとっていた、など、嘘に嘘を重ねていたのだ。
チームの前で自身をギャンブル依存症だと告白し、嘘を重ねた水原氏の言動について話すとき、大谷選手はまばたきが増え、口元をきつく結んでいた。
ネガティブな出来事に直面してマイナス感情や緊張が強くなると、人はまばたきが多くなったり、口元をきつく結ぶといわれる。大谷選手にとって、水原氏の裏切りのダメージがどれほど大きかったかがわかる。
いくつかのメディアが、大谷選手が会見の冒頭で水原氏のことを名前ではなく「彼」と呼び、途中から「一平さん」と呼び方が変化したことに言及していた。たしかに、呼び方の変化は聞いていて気になるものだ。大谷選手が公私ともに信頼をよせ、パートナーとして彼を支えてきた水原氏の姿を知っているだけに、聞いていて辛くなるファンもいただろう。
呼び方が変わったのが意識してのことなのか、無意識だったのかはわからない。だが会見中、大谷選手は自分の言葉で話しているように見えたので、呼び方が変わったのは無意識だろう。
「一平さん」という呼び方を使わなくなった“タイミング”
ではなぜ、呼び方が変わったのか。愛情がまだあるから、という説は、冒頭の「信頼していた方」という過去形を踏まえると微妙だ。
しかし、大谷選手が「一平さん」という呼び方を使わなくなったのは、話が“ある場面”に至ったタイミングだとしたらどうだろう。
大谷選手が水原氏を「一平さん」と呼んだのは、大谷選手がまだ水原氏の賭博について何も知らなかった時期について話していた時だけだ。
チームミーティングを経て、水原氏と2人で話して信頼していた人間に巨大な嘘をつかれていたことを知る場面について話した以降は、「一平さん」と名前を呼ぶことは一度もなかった。
会見では、代理人やチームメイトへの心苦しさが垣間見える場面もあった。水原氏が嘘の報告を「僕の代理人を含めみんなに話していた」ことについて話すとき、大谷選手は右手を前に出して何度かふり、“みんな”が嘘をつかれていたことを強調した。口元は唇が消えるほど引き締められ、口角はぐっと下がっていた。
自分の元通訳が代理人やチームメイトに嘘をつき、周囲にもストレスをかけてしまったということについて、非常に強いストレスを感じたのだろう。
会見場に同席したチームメイトたちの存在を強調?
その後も大谷選手は「チームも、代理の人たちも」と関係者それぞれの存在を強調する仕草を見せている。
会見の場には通訳のウィル・アイアトン氏だけではなく、スタン・カステン球団社長やデイブ・ロバーツ監督らに加え、ジョー・ケリー投手やエンリケ・ヘルナンデス内野手らも同席して大谷選手を見守っていたので、彼らを仲間として信頼している様子が伝わって来た。
そして会見中、大谷選手は通訳される自分の言葉を、何度も何度も頷きながら聞いていた。これは事実なのだと無意識のうちに強調していたように見える。
「ショックという言葉が正しいとは思わない」「うまく言葉にするのは難しい」と率直な心情を吐露し、警察当局の捜査にも全面的に協力すると話すと、まるで襟を正すようにドジャースのパーカーの首元をグッと掴んで持ち上げた。
会見の最後に大谷選手は、「シーズンに向けてまたスタートしたいですし、お話しできてよかったと思っているので」と再び言うと背筋を伸ばした。大谷選手自身も、自分の言葉で説明する機会を心待ちにしていたのかもしれない。
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